母は認知症です。施設入所のため、母名義の実家を売却できますか?
(相談者 長男 50歳)

私には離れて暮らす高齢の母がいます。
最近、認知症の症状が出始め、一人暮らしをすることが難しくなってきました。「一緒に住もう」と誘いましたが、慣れない土地に行くよりも、住み慣れた町で暮らしたいようです。
そのため、母が暮らしている実家を売って、そのお金で、母を老人ホームに入れてあげたいと考えているのですが…。
母に代わって、私が不動産の売買契約を結ぶことはできますか?
不動産を売却するには、名義人であるお母様の「売ります」という意思の確認が必要です。認知症などにより、お母様の売却の意思が確認できない場合、息子だからといって、相談者様が、お母様名義の不動産を代わりに売却することは認められません。
認知症などにより、不動産の名義人の判断能力が低下してしまった場合、不動産を処分するにはどうしたらよいのでしょうか?
成年後見制度を利用して、家庭裁判所でご本人の代わりに手続きを行ってくれる成年後見人等を選んでもらう必要があります。
成年後見人等を選任してもらえば、母名義の不動産を自由に売却することができるのですか?
ご自宅での生活を続けるのか、老人ホームに入所して生活をするのか、という問題は、お母様にとって大変重要な問題です。このような重要な問題について、成年後見人等は、ご本人であるお母様の意思を尊重して後見等の業務を行う必要があります。
仮に、お母様が、老人ホームへの入所を希望されたとしても、成年後見人等が、お母様のご自宅を売却するような場合には、家庭裁判所の許可が必要となり、許可を得ずに行った売却は無効となります。
家庭裁判所で、母の成年後見人等を選んでもらった場合、不動産の売却手続きが全て終わった後は、成年後見制度の利用を終了して、母の成年後見人等を外してもらうことができるのでしょうか?
家庭裁判所で、お母様のために成年後見人等が選任された場合、お母様の判断能力が回復するような場合を除いて、原則、お母様がお亡くなりになるまで、お母様に対する後見等が継続することになります。そのため、後見制度の利用のきっかけとなった、不動産の売却などの手続きが終了したからといって、成年後見制度の利用を終了し、成年後見人等を外してもらうことはできません。